今日はイーサリアムの将来性について解説をしたいと思います。よくあるイーサリアムはワールドコンピューターですごいんだ!というところから一歩踏み込んで考察していきます。
イーサリアム/Ethereumの概要
そもそもイーサリアムとは
イーサリアムは2013年にロシア系カナダ人であるヴィタリク氏によって考案され、2014年にはビットコインを集めてICOを行いました。現在では暗号資産の時価総額ランキングで2位に付けています。ここに関しては他にイーサリアムの概要を紹介しているブログが山ほどあるのでサラッと見ていきます。
イーサリアムとは
商取引を自動で行うことの出来るスマートコントラクトという機能を有している
イーサリアムは商取引自動化のプラットフォーム=全世界の公共財になることを目指している
NFTやDeFiもその商取引の一部であり、最終的には世の中の商取引を全てイーサリアム上で実行することを目指している
時価総額 | 約30兆円 |
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承認方式 | Proof of WorkからThe Mergeを経由してProof of Stakeに2022年中に移行済み |
中央機関 | なし(ギリギリ分散している) |
オフィシャルサイトURL | https://www.ethereum.org/ |
ホワイトペーパーURL | https://github.com/ethereum/wiki/wiki/[Japanese]-White-Paper |
よくNFTで使われているから!DeFiがあるからイーサリアムに価値があるという方も一定数いますが、本来はその逆でネットワークが安全だからこそ所有権や金融プラットフォームとして使うのに信頼できるという事情があります。どうしてイーサリアムに価値があるのと言われているのか、その理由を見ていきましょう。
イーサリアムの価値の根源
イーサリアムになぜ価値があるのか、その根拠は主に3つあります。1つ目はスマートコントラクトにより契約した内容を忠実に実行できるところ、2つ目は時価総額が高いのでそれに比例してネットワークのセキュリティが担保されているところ、3つ目はイーサリアムネットワークを維持する参加者が分散しており特定の誰かが自分のためにルールを変えることが出来ない点です。
イーサリアムの価値
スマートコントラクトにより、事前に指定した契約内容を忠実に実行することが出来る
時価総額が高く攻撃するコストも高くなってしまい攻撃を行うメリットが限りなく小さい
イーサリアムネットワークの参加者が分散しており特定の誰かがルールを変えることがほぼ不可能
全部当たり前のことじゃないの?と思われるかもしれませんが、現状の契約と現金、それに付随する電子マネーやクレジットカードのネットワークでは上記は実現出来ていません。主体があるためルールは簡単に一方的な理由で変更出来ますし、契約内容が履行されないことも多々あります。それを引き換えにセキュリティ性を担保している側面が現代の金融システムでは色濃く出ています。例えばクレジットカードは詐欺が起きたときに管理者であるクレジットカード会社の権限で取引を取り消すことが出来ます。これは同時に管理者権限で管理者に都合の悪い取引を取り消すことが出来るということを意味しています。
悪用ができないように監査等の監視機関を置いているけど、それは同時に監視のためのコストがかかっていることを意味します。そういった監視がなくても自動で取引を実行するイーサリアムは次世代の取引プラットフォーム=公共財として期待されています。
どうしてイーサリアムは期待されているのか
期待されている理由①:開発している人や企業が桁違いに多い
イーサリアムは開発している個人や企業の数が桁違いです。2021年末の時点で3900人のデベロッパーが登録されています。SOLANAでも900人、Polkadotでも1400人なことを考えると桁外れに大きいコミュニティになります。余談ですがビットコインは完成仕切っているのでデベロッパー数は控えめです。
参考までにConsenSysというMETAMASKを開発している会社単体でも700人以上従業員がいます。他にもLeewayHertzやUnicsoft等の会社が開発に携わっています。
Source: Electric Capital
期待されている理由②:今まで困難を解消してきた実績がある
イーサリアムは様々な批判を受けてきましたがその中で1番言われていたのがスケールしない(=イーサリアムのやり方だと捌ける取引数に限界があるので使い物にならない)というのがありました。2021年にPoS化やL2(特にOptimistic RollupとZK Rollup)の活用によってスケールの問題解決が概ね見えています。
その他にも色々解決はして来ているのですが、困難な問題でも解決する能力がある開発者が多いため多くの市場参加者はイーサリアムは成功するだろうと信じています。
期待されている理由③:競合相手がいない
イーサリアムのようなプラットフォームはSolanaやEOS等たくさん出て出来ました。ぱっと見の性能は良いのですがやはり開発出来るメンバーが少ないこと、分散していないことから将来的にメインでは使われないのでは?と考えています。その証拠に殆どのチェーンでは現状イーサリアムのプロダクトを模倣していたりして新規性が高いアプリケーションすら排出できていません。
分散していないネットワークは攻撃されるリスクが高く、特定の誰か(主に運営や開発チーム)がルールを変えてくる可能性があるため信頼性が低い=使われない可能性が高いです。最近だとTerraというチェーンでは開発者の鶴の一声でチェーン停止までしてしまいました。そんなネットワークは怖くて使えません。
期待されている理由④:世界に与える影響が大きい
自動で取引を執行する分散プラットフォームはただの効率化以上に商取引の世界の常識を変える可能性があります
今までは取引を執行するために使っていたリソースを他のことに使うことが出来たり、契約が意図的に取り消されることがないプラットフォーム上では新しい取引の形が出てくるかもしれません。そういった未来的なプラットフォームになれる可能性をイーサリアムは秘めています。
なぜイーサリアムへの投資が危険だと言えるのか
危険な理由①:イーサリアムはまだ世界を変えていない
イーサリアムはまだ実際に使われていません。それどころか完成もしていません。ニュースで~の企業や銀行がイーサリアムを使った記事を見ますがあれは実験的な意味合いに近いです。イーサリアムは未だ次世代の商取引プラットフォームになるだろうとみなされてはいますがまだ実在する商取引の殆どはイーサリアムネットワーク上では行われていません。
使われてもいないプロダクトに資金が集まっている状況は米国株のTeslaも通った道です。今までの実績というよりは将来への期待値ということだけで価格がついているため投資対象として安全と見なすことは私には出来ません。
危険な理由②:以前に同じようなプラットフォームがなく値ごろ感がわからない
イーサリアムは全く新しい商取引プラットフォームであり、価格を根拠付ける証拠、株式や債権等で使われる伝統的な指数等が全く使えない状態です。一応、イーサリアムチェーン上でのマイナーやステイカーへの報酬やネットワークのセキュリティ維持に必要な時価総額等大まかな目安はあるのですが、今の価格が天井である可能性も否定できません。
過去に実績がない状態のプロダクトの価格予想はとても難しいです。ゴールドの時価総額を参考に出来るビットコインと比べるとイーサリアムの将来価格はあまり予想が意味をなしません。原油との類似性を指摘する方もいますが、車や機械を動かすだけの原油よりはイーサリアムは用途が広いのであまり参考にならいのでは?と個人的には思っています。
危険な理由③:イーサリアムネットワーク上に一般向けアプリケーションがまだまだ少ない
イーサリアムを担保にドルペッグのトークンを発行するプロトコルを作ったMakerDAOは別格としてUNISWAPやCOMPOUND、AAVE等有名なプロトコルは全てイーサリアムが商取引自動プラットフォームとして使われる下地としてのアプリケーションが多いです。
まだニーズがないとはいえ一般向けのアプリケーション、例えばスマートコントラクトの使いやすいGUIアプリが出て来ていないことは懸念点だと思っています。しかしながらこの点についてはニーズがあれば自然とサービスを提供する会社も増えるだろうと楽観的な方が多いのも事実です。
イーサリアムの将来性
将来性①:完成すれば間違いなく世界最大の商取引プラットフォームに
イーサリアムは管理者なしで世界中の商取引を自動化することを目的としています。これは今までは契約内容をうまく確認できなかった海外企業のサービスなどでもイーサリアムの契約内容を確認すれば契約できるようになっています。言語の壁だけでなく今まであったしがらみの多くを無くすことが出来るイーサリアムチェーンは完成さえすれば間違いなく世界最大の取引プラットフォームになるでしょう。
NFTやDeFiとは比べ物にならないニーズが商取引にはあります。それらを全て取り込むことが出来るイーサリアムの価値は上昇していくことが予想されます。
将来性②:イーサリアムネットワークを維持するためにETHの価格は下がりにくくなる
イーサリアムはその性質上時価総額がある程度無いとセキュリティが担保されないため、もしイーサリアムが世界中の商取引を包括した場合、ETHの価格は下がりにくいと言えるでしょう。
かつてビットコインが価値保存としてのチェーンでそうだったように、取引自動化としてのチェーンとしてでも1番のネットワークに取引が集まる傾向があります。
まとめ:イーサリアムへの投資は危険か?
現状でのイーサリアムへの投資はハイリスクであると言わざるを得ません。しかしながらリターンも青天井であることが否定出来ないためそのリスクを理解した上で投資を行うことを強く推奨いたします。
まとめ
イーサリアムへの投資はハイリスクハイリターン
値ごろ感がないためリターンの予測が困難。その分大きいリターンを狙えるかもしれない
今後の開発進捗が投資判断に大きな影響を及ぼす
もしイーサリアムが完成すれば商取引の分野で独占に近いシェアを持つネットワークになる可能性が高い
最後に、記事作成についてツイッターのスペース上でお話させて頂いたなーちゃんさん(@crypto__baby)、及び信玄さん(@shingen_crypto)にお礼をさせていただきます。誠にありがとうございました。自分の考えを整理するいい機会になったこと、改めてお礼させて頂きます。
注意:本記事は筆者の考えを強く反映しています。実際にETHに投資をする際には自己責任にてお願い致します